ようやく『空の境界』第七章「殺人考察(下)」を視た

ようやく、カミサンと視てきた。視る前には、2007年12月より視だしたシリーズがとうとう終わったのだなあ、といった感慨でもあるのかと思っていたのだけれど、まったくそういったことはなかった。上映中に思っていたことは、ひたすら長いなということだけだった。

映像は確かに美しいと言えば美しいといえる。まあ、ムービーなんで当然のようにTVアニメよりはよほど動く。だがなんていうか視ていて統一感っていうか落ち着きみたいなものを感じなかった。

まあ、原作的にも実質的なクライマックスは第五章であり、七章はミステリーの解決篇的な落ち穂拾い的なストーリーなので、敵もはっきりいって小物臭さしか感じなかった。なんていうのだろう、第一章を視たときの圧倒されるような感じ、アニメーションで恐怖を感じることができる喜び(もしかしたら、結構倒錯した感情なのかもしれないが)をといったものはまったく感じなかった。敵が小物過ぎて、なんていうんだろう、片眼失った程度ではそんなものかっていう雰囲気しか感じなかった。

演出も中途半端だった。こんなのをわざわざ見に来ている人たちなんて、原作既読と思って作ればよかったのにっていうことをまず感じた。

まずは、シリーズが終わったことは憧憬のいたりだ。ただ、ある種の物足りなさ、なんといったらいいのだろう、あまりにも予定調和の落としどころに結構萎えた。やはり、一章を視た時のもしかしたら、恐怖かもという感情。そして、五章の原作既読者をも振り回す爽快感といったものを感じることはできなかった。私は原作通りのストーリーになんか興味はない。小説とアニメでは表現可能なこと、表現して訴えかけることに差があるのは当然だと思うからだ。

映像的にはともかく、ストーリー的には個人的にはとても残念なできだった。まあ、六章の氏ねじゃなくて死ねというほどの最悪のできでもないけれど。

6.5(シリーズ全体では7.0)