『スカイ・クロラ』を見た

スカイ・クロラ』を見た。カミサンとってのがなんだが。原作未読。美しい動画で空戦とかはすばらしかったが、ストーリーが少しわかりにくかった。パンフレットを読んで納得したけれど、世界観とかの説明は意図的にはほとんどされていない。空戦はすばらしいけれど、ちょっと無機質な感じがした。プロペラがぴたっと止まってしまうのが、個人的にはちょっと気持ち悪い。映像はすばらしい。飛行機などの物がこれでもかっていうくらいに作り込みされているのに対して、人物は意図的にか平板に作ってある。

ただし、世界観は私の好みじゃない。リアルな現実からしたら、ありえないほど平穏な世界。とても実現できるとは思えない。そういった些末な部分にひっかかってしまった。だって、ついこないだ、100万人が虐殺されちゃったりするのが、我らがリアルな世界なんだぜ? そんな、他者のスポーツのような戦争なんか納得できるわけがない。日本人のことだけを考えれば、あり得る世界なのかもしれないが、この悲惨な現実世界を思うと、笑わせるなとしか思えない。

ただ、そういった私の気分っていうか感情は抜きにして、映画はなかなか良かったように思う。少なくとも私は一度も時計を見たりはしなかった。ただ、主人公たちにまったくといっていいくらい切実さを感じず、少しも感情移入できなかっただけだ。気に入らない点は、やたらと煙草を飲むこと。元喫煙者の私には、これがひどくいらだたしく感じられた。煙草がかっこよく見える映像ってそれだけで私の敵だ。

ストーリーに戻れば、最初は、何このパワハラ? とか思ったが、そんなことはなくて、隠れた理由があった。ストーリーは語られないことは多いが、逆に何度か見れば気づく程度のことでもある。パンフレットを読んでしまうと、大体解決してしまうので、可能だったら見ない方がいいのかもしれない。

オタクではなく私へのつきあいでアニメーション映画も見るカミサンは、おもしろかったが、「空の境界」の方がもっとおもしろかったそうだ。できれば、そんなことは劇場を出た後で言ってほしかったと個人的には思った。私はある種好きにはなれない映画だけれど、十分動画としては楽しむことができた。ただ、押井の最高傑作かといえば、私は断じて否と断言する。単純に、年取った押井の作品ってだけのような気もする。職人的な部分は非常に気に入っているしね。
7.0(-0.5は煙草をうまそうに飲んでいたので)