小川一水、『風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記』を読んだ

個人的には歴史、戦史、シミュレーションウォーゲーム(ボード、PC)が好きでいろいろ読んだりプレイしたりしている。中でも、ボードシミュレーションゲームの多人数ソロプレイゲームが好きだった(中世を部隊にしたSPIの『Empires of the Middle Ages』とかエポック『戦国大名』の8人プレイとかも好きだった)。最初は1つのエリアでしかなかったのが、人口を増やし、産業を整備し、軍備を整え、街を整え、徴税し、外敵に備えといったことを延々と繰り返していく。戦争なんてやりたくても金も兵もなくて当然できない。時に外敵の侵略にあい、疾病によって壊滅的打撃を受けたりする。ほとんど他のプレイヤーと接触することなく、ひたすら、自分の領土を整備していく。やがては、複数のエリアを支配したりするかどうかって頃には、プレイ時間が過ぎてしまったりする。

『風の邦、星の渚』を読みながら、ちょっとそんなことを思い出した。舞台は中世14世紀のドイツの沿岸部。人に魅了された異星の生命体の助けを借りて、主人公たちは都市を造っていく。最初はローマの遺跡しかなかったところで、古いローマ街道を整備したり、残っていた橋桁を活用して橋を架けたり、山賊から街を守ったり、領主から独立を保ったりしながら、だんだん大きな街にしていく。

SFかっていうとSFファンタジー? ってな気もするけれど、どうなんだろうね。物語自体は、割と淡々としているかなあ。悪くはないんだけれど、キャラクターたちが現代的な人が多いっていうか、ちょっとラノベ的? 人物造形とかは平板かなあ。まあ、小川一水のいつもの人たちってことなのかもしれないけれど。おもしろいんだけれど、もうちょっと長い期間を読みたかったなあってのもある。

6.0 6.5(迷ったが、修正。6.0とアベレージ(サッカー式採点法なため、10点満点。アベレージは5.5〜6.0)を最初につけたのは、過度な期待をしすぎていただけかもしれない。すべて自分が望む方向へってわけにはいかないよなあ)。

風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記

風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記