打海文三の『覇者と覇者』を昨日から読み出した

3部作(最初は10部作と言っていたような?)の未完の最終巻(著者が執筆中に亡くなったため)を読み出した。内戦が続く日本で孤児を主人公としているが、これだけをきいてわかるような単純な話でもない。すばらしい。ページをめくるのがおしい。でも、早く読みたい。その葛藤で身もだえしつつゆっくりゆっくりと言い聞かせながら読んでいる。

打海文三は、知名度はそれほどないが、私がとても好きな作家だ。もしかしたら、もっとも好きな作家かもしれない。なんていうんだろう。美しい文章を書く人だ。秀逸なテーマを選ぶ人だ。とても私好みの時につらいテーマだ。きちんとしたエンターテインメントでありながら、非常に深い話を誰にでもわかりやすく、気持ちよく描写できる人だ。数は多くはないが、この人の恋愛小説が好きだ。ハードボイルドやエスピオナージュは言うまでもない。乾いたユーモアも好きだ。いつも笑わせられる。登場人物の凛々しさが好きだ。ヒロインは、かなり同じ人しか出てこない気もするけれど、とてもすてきな人たちだ。ハードボイルドの主人公達も名前しか違わない気もするけれど、これまたとても魅力的な人たちだ。

こんなすばらしい作家が、世間的には無名なんだなあ、ってことは、逆に言えば私が知らないだけで私好みの作家がまだまだいる可能性が多いにあるじゃないか。ああ、だが早く読みたい、ページが減るのが惜しい。

いろいろあってアニメーションを見る量自体がかなり減っている。今週はほとんど消化していない。まあ、それもいいか。セレクトしていくしかないかなあ。

覇者と覇者  歓喜、慙愧、紙吹雪

覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

[11月6日追記]
実は、書いた日に読んでしまった。いやあ、おもしろいんだけれど、未完なんでここで終わるのかってあたりが逆に深い葛藤となってしまった。葛藤というか、なんていうんだろう? 続きが読めない絶望?

誰が生き残るんだろうねえ。すでに、残り3章の時点で、結構死にだしているし。自殺した人あれば、事件の人あり、でさまざまだけれど。

7.0(本当はもっと高い得点なんだけれど、未完なんで欲求不満が高じて1.0くらい引いてしまっている)